能力別に探す

子どもの自己肯定感を支えるには? 褒め方・叱り方で迷ったときに

この記事でわかること

子どもが「どうせできない」「自分のは下手」と言うと、どう励ませばいいか迷います。そんなときは、すぐに自信を持たせようとする前に、「うまくいかなくて嫌だったんだね」と、今の思いを聞くところから。自己肯定感について、褒め方や失敗した日の関わりを通して考えます。

「非認知能力 × 自己肯定感」の文字と、雨の窓辺で、残念そうな子どもの話を聞く父親の水彩イラスト

「自信を持ってほしい」と思ったら、どう声をかける?

「すごいね」と褒めた方がいいのか、注意すると傷つけてしまうのか。自己肯定感という言葉を知って、かえって声のかけ方に迷うこともあるかもしれません。まずは、出来栄えの話だけで会話を終わらせず、子どもが何を伝えたかったのか聞いてみましょう。

  • 絵を見て「下手だ」と言ったら:「どのところが気になった?」と聞く。すぐ描き直させず、話したいかどうかも確かめます。
  • できたものを見せに来たら:「見せてくれてうれしい。ここは何を描いたの?」と、本人が話せる余地をつくります。
  • 危ないことをしたら:「たたくと痛いから止めるよ」と行動を止める。「悪い子だね」と、その子自身の良し悪しにしない言い方を選びます。

声をかけるなら

「思ったようにできなくて残念だったね。話したくなったら聞くよ。」
この記事の目次

自己理解・自己肯定感・自己効力感はどう違う?

このサイトでは、自己肯定感を「苦手なことや失敗があっても、自分を大切に思える感覚」として紹介します。資料によって意味の幅がある言葉で、自尊感情と常に同じ意味とは限りません。[1]

  • 自己理解=自分を知る。「絵を描くのが好き。でも顔を描くのは苦手」など、好み・気持ち・必要な助けに気づくこと。
  • 自己肯定感=自分を大切に思う。「うまく描けなくても、自分がダメなわけじゃない」。出来栄えと、自分自身の価値を分けて考えます。
  • 自己効力感=この場面でできそうと思う。「丸から描けば、自分にもできそう」。特定の行動を実行できるという見通しです。[2]

「自分が一番」と思わせたり、いつも前向きにさせたりする目標ではありません。失敗したときに残念な気持ちを話せること、必要な助けを求められることにも目を向けます。

自己理解の記事を読む / 自己効力感との違いを読む

「下手だ」と言う・友達と比べるときの声かけ

絵が思うように描けず、「自分は下手」と言う

「そんなことない、天才だよ」と言い返す前に、「どのところが思っていたのと違った?」と聞きます。描き直す、少し手伝う、作品をしまうなど、本人の望む扱い方を相談します。

友達の作品を見て、自分のを隠す

「あなたの方が上手」と順位で慰めず、「見せたくないんだね」と希望を確かめます。見せる相手や場所を本人が選んでも構いません。

家族の前では話すのに、人前では黙る

話す量だけから自分への評価は分かりません。「挨拶できない子」と紹介せず、大人が代わりに伝える、うなずく、後で少人数で話すなど加わり方を選べます。

いずれも、子どもに「自分が好き」と言わせようとしなくてかまいません。今は残念、見せたくない、という本人の思いを残したまま関われます。

作品を見せに来たとき、何を話そう?

子どもが作品を見せに来たら、こんな会話はいかがでしょうか。

  1. 子どもが作品を持ってきたら、すぐ上手・下手を判定せず、「ここに長い線を描いたんだね」と見えていることを伝えます。
  2. 「話したいところはある?」と本人に聞きます。「分からない」なら説明を求めず、並んで眺めるだけでも構いません。
  3. 飾る、しまう、まだ作り続けるなど、その後どうするかを相談します。気に入っていない作品の公開を強制しません。

褒める言葉を禁止するための手順ではありません。大人が「見せてくれてうれしい」と伝えることもできます。ただ、毎回立派な成果を用意しないと見てもらえない、という関わりに偏らないようにします。

好きなことや手伝ってほしいことを一緒に見つけたいときは、自己理解の実践「お絵描きと積み木から、今日したい遊びを選ぶ」へ。得意なものの数を競うためには使いません。

こんなとき、どうする?

毎日たくさん褒めればよいですか?

ここで確認した資料から、褒める回数と長期的な自尊感情の効果は決められません。回数の目標を作るより、何について話しているかを見直してみます。出来栄えだけでなく、本人の希望や困ったことも聞ける会話を残します。

注意すると自己肯定感を下げますか?

守ってほしいことを伝えることまで避ける必要はありません。「たたくと痛いから止めるよ」と行動を止め、「だからあなたは悪い子」と本人全体の評価に広げない言い方ができます。

「できない」とよく言うときは?

まず何が難しいのかを具体的にします。「全部? 最後のところ?」と確かめ、手伝う・やり方を変える・休む選択を出します。「できないと言わない」と禁じるより、必要な助けを伝えられる会話につなげます。

つい強く言ってしまった日は

落ち着いてから「さっきは大きな声で言ってごめんね」と、親の言い方について伝え直すこともできます。危なかった行動への注意は短く伝え、全部を一度に解決しようとしなくて大丈夫です。

今日は、出来栄え以外の話もしてみよう

自己肯定感を考えるときも、明るさや褒められた回数で親子を評価しないでください。うまくいかなかったことは一緒に扱いながら、子ども全体を失敗と結び付けない。まずは今日の一場面で、その子の話を聞くところから始められます。

大人になってからも、こんな場面で

うまくできたかどうかと、自分の価値を切り離して捉える視点は、大人になって評価や失敗に出会うときにも大切です。

大人の暮らしに置き換えると、こんな場面が考えられます。

仕事の失敗を、自分全体の否定にしない

作業で間違えたら、直すべき手順を確かめる。「この仕事を間違えた」と「自分には価値がない」を分けて、改善の相談に向かう場面です。

関係の中で、嫌なことを伝える

相手に好かれるために、傷つく言い方まで受け入れる必要はありません。大切に扱われたいという希望を持ち、距離や伝え方を選ぶ視点になります。

評価されない時間も、大事にする

成果を見せない趣味や、ただ休む時間にも、自分にとっての意味があります。役に立った日だけ自分を認める暮らし方から、少し距離を取れます。

いつも自信満々な姿より、失敗や評価の揺れがあっても、自分を大切に扱うことを手放さない姿を思い描きます。

この例について、詳しく読む

国立教育政策研究所の一覧が自尊心を自分の価値の感覚として、能力への信念と分ける概念整理を参照しています。[1] ここに挙げた生活場面は、定義から考えた編集部の例です。ここで紹介した遊びをすれば、将来このようになると示されたわけではありません。

「できる自信」と「自分を大切に思うこと」はどう違う?

「このパズルは自分でできそう」は、特定の行動への見込みである自己効力感に近い言葉です。「パズルができなくても、自分は大切な存在だ」という受け止め方は、自尊感情に関わります。

Banduraも、能力についての見込みと自分の価値の評価を区別しています。その章は概念と測定方法の説明で、幼児をどう褒めれば自尊感情が上がるかを試した実験ではありません。自己効力感尺度の構成ガイド、p.309[2]

「苦手と言ったから自己肯定感が低い」とすぐ結び付けず、その課題について困っているのか、自分全体を否定する気持ちなのかを、本人の言葉に沿って聞いてみましょう。

言葉の意味を、もう少し詳しく

国立教育政策研究所の概念一覧では、自尊心を自分の価値についての感覚として扱い、能力への自己認知や自己効力感とは別項目にしています。本記事も、その区別に沿って説明します。社会情緒的コンピテンスの一覧・自尊心[1]

この一覧は複数の発達段階の研究を整理したものです。自尊心が載っているからといって、4〜6歳全員に使える判定表になっているわけではありません。また、本サイトは「自己肯定感」という言葉を使うすべての資料が同じものを測っているとは扱いません。

自己肯定感は、課題ができた数だけではわかりません。うまくいかない日にも、自分が大切にされていると感じられる関わりを考えてみましょう。

育む活動

自己肯定感では、できばえを条件にせず本人の気持ちや希望を受け止める関わりを考えます。遊びを通して、頼る・休む・見せるなどの希望を聞きます。

気になる活動を選ぶと、遊び方と道具を確認できます。年齢は選ぶ目安です。順番に取り組む必要はなく、途中で終えても構いません。

親子がそれぞれの紙に線や丸を描き、一緒に眺める4歳の家庭向けの例・3〜5分の目安好きな線を描いて、見せたいところを選ぶ親子が別々の紙に、好きな色で線や丸を描きます。上手さを比べず、見せたいところを一緒に眺める遊びです。遊び方・道具・関わり方を見る

遊び方

  1. 親子それぞれの紙と、使いたい色を用意します。何を描くかは決めなくても構いません。
  2. 線や丸を自由に描きます。大人は見本を描かせず、自分の紙で遊びます。
  3. 見せたいところがあれば指してもらい、「ここを見てほしかったんだね」と眺めます。しまう・続きを描くも選べます。

用意するもの

  • 紙2枚
  • 太めの色鉛筆

足りない道具を探す

まず家にある物で。買い足す場合は、商品例のページで仕様を確認できます。

使う道具

紙・画用紙

親子それぞれの描く紙

この道具でできる遊びを見る →

家にある物なら:裏紙や手元の紙。数枚を並べても大丈夫。

商品例:マルマン 図案スケッチブック B4 S120

道具を使うときの注意

普通の紙でできる活動に厚い紙は必要ありません。

イラストは道具のイメージです。購入リンクには商品の一例を挙げていますが、この商品でなければ遊べないという意味ではありません。購入前に製品の対象年齢と注意表示を確認してください。

使う道具

描きやすい色鉛筆

好きな色で線や丸を描く

この道具でできる遊びを見る →

家にある物なら:家の色鉛筆・クレヨン。大人の代筆もできます。

商品例:くもん こどもいろえんぴつ 6色 SE-23

道具を使うときの注意

握りやすさを本人と確かめます。色数や細い描写は求めません。

イラストは道具のイメージです。購入リンクには商品の一例を挙げていますが、この商品でなければ遊べないという意味ではありません。購入前に製品の対象年齢と注意表示を確認してください。

大人の関わり方・注意

成果や返事を関わりの条件にせず、本人が選んだ参加の仕方を尊重します。

準備・注意
机を保護し、道具の対象年齢と注意表示を確認します。紙は二人分用意します。

難しそうなら・もう少し楽しむなら

難しそうなら

色を選ぶだけ、大人が描くのを見るだけでも参加できます。

もう少し楽しむなら

二枚の紙を隣に置くか、別々に飾るかを本人に聞いてみます。

やめどき
絵を見せたくなくなったら、本人の希望でしまいます。褒めるために無理に見せてもらう必要はありません。

人形の「困った」を聞く、お世話ごっこを親子で試している場面5歳の家庭向けの例・5〜10分の目安人形の「困った」を聞く、お世話ごっこ人形が服を着られず困った、という場面で遊びます。「できない」人形を責めず、そばにいる・手伝うなど、してほしいことを聞いてみます。遊び方・道具・関わり方を見る

遊び方

  1. 人形と布を用意し、大人が「着替えがうまくいかないな」と人形役で話します。本人の失敗を再現する必要はありません。
  2. 「そばにいる? 手伝おうか?」と人形に聞いて遊びます。大人が返事をし、選んだ方法を試します。
  3. 人形ができたかどうかにかかわらず、一緒に休む場面で終えられます。子どもが人形役になりたければ交代します。

用意するもの

  • 人形またはぬいぐるみ
  • 人形に掛ける布

足りない道具を探す

まず家にある物で。買い足す場合は、商品例のページで仕様を確認できます。

使う道具

人形・ぬいぐるみ

困った場面を演じる相手

この道具でできる遊びを見る →

家にある物なら:家の人形や紙に描いた登場人物。服を巻く遊びは丸めたタオルでも。

商品例:IKEA ファブレル ビョーン 21cm

道具を使うときの注意

手順に合う大きさを選びます。同じ商品を買いそろえる必要はありません。

イラストは道具のイメージです。購入リンクには商品の一例を挙げていますが、この商品でなければ遊べないという意味ではありません。購入前に製品の対象年齢と注意表示を確認してください。

大人の関わり方・注意

成果や返事を関わりの条件にせず、本人が選んだ参加の仕方を尊重します。

準備・注意
ひもや小さな留め具を使わず、布は人形にだけ掛けます。本人への注意を人形に代弁させないようにします。

難しそうなら・もう少し楽しむなら

難しそうなら

大人が人形を動かし、子どもは布を選ぶか眺める役でも構いません。

もう少し楽しむなら

人形が「今は着替えたくない」と答える場面も作り、急がず休む遊びに変えられます。

やめどき
本人が嫌がったら、理由を聞き出さず別のごっこ遊びへ変えるか終えます。

作品を見せ合い、気に入ったところを話すを親子で試している場面6歳の家庭向けの例・5〜10分の目安作品を見せ合い、気に入ったところを話す絵や積み木で、それぞれ好きな物を作ります。上手さの順位をつけず、見せたいところや変えたいところを本人の言葉で話す時間を作ります。遊び方・道具・関わり方を見る

遊び方

  1. 絵を描くか積み木で作るか、本人が選びます。大人も自分の作品を作り、完成を急がせません。
  2. 見せたい場合だけ見せ合います。「どこを見てほしい?」と聞き、大人も自分の気に入った箇所を一つ話します。
  3. うまくいかなかった話が出たら、その気持ちを聞きます。直す・残す・片付けるから本人が選び、感想を言わずに終えても構いません。

用意するもの

  • 紙
  • 色鉛筆
  • 大きめの積み木(積む遊びを選ぶ場合)

足りない道具を探す

まず家にある物で。買い足す場合は、商品例のページで仕様を確認できます。

使う道具

紙・画用紙

描く遊びを選ぶ場合

この道具でできる遊びを見る →

家にある物なら:裏紙や手元の紙。数枚を並べても大丈夫。

商品例:マルマン 図案スケッチブック B4 S120

道具を使うときの注意

普通の紙でできる活動に厚い紙は必要ありません。

イラストは道具のイメージです。購入リンクには商品の一例を挙げていますが、この商品でなければ遊べないという意味ではありません。購入前に製品の対象年齢と注意表示を確認してください。

使う道具

描きやすい色鉛筆

好きな物を描く

この道具でできる遊びを見る →

家にある物なら:家の色鉛筆・クレヨン。大人の代筆もできます。

商品例:くもん こどもいろえんぴつ 6色 SE-23

道具を使うときの注意

握りやすさを本人と確かめます。色数や細い描写は求めません。

イラストは道具のイメージです。購入リンクには商品の一例を挙げていますが、この商品でなければ遊べないという意味ではありません。購入前に製品の対象年齢と注意表示を確認してください。

あると便利

大きめの積み木

積む遊びを選ぶ場合

この道具でできる遊びを見る →

家にある物なら:安定する大きめの空き箱。橋の土台は高さのそろった丈夫な箱でも。

商品例:ボーネルンド オリジナル積み木 カラー

道具を使うときの注意

小さいパーツを避け、低い位置で使います。

イラストは道具のイメージです。購入リンクには商品の一例を挙げていますが、この商品でなければ遊べないという意味ではありません。購入前に製品の対象年齢と注意表示を確認してください。

大人の関わり方・注意

成果や返事を関わりの条件にせず、本人が選んだ参加の仕方を尊重します。

準備・注意
大人が同じ物を上手に作る見本の時間にせず、それぞれの道具や場所を確保します。

難しそうなら・もう少し楽しむなら

難しそうなら

言葉にする代わりに、見せたい場所を指さすだけでも構いません。

もう少し楽しむなら

本人が希望したら写真を撮って残します。前の作品より上達したかを採点する記録にはしません。

やめどき
比較がつらくなったら、見せ合う時間をやめます。良いところを必ず答えて終える必要はありません。

声かけ

場面に合う一言から。言いやすい形に変えて構いません。

言えば効果が出る決まった言葉ではありません。返事を急がず、その日の希望に合わせて変えられます。

参考にした資料

言葉の説明は以下の資料を参考にしています。遊びや声かけは家庭向けに考えた例で、同じように試せば必ず効果があるというものではありません。

資料の一覧と、参考にした内容
  1. 表2 社会情緒的コンピテンスの一覧

    資料の種類:公的研究の概念整理表。対象:乳児期から青年期等、異なる発達段階を含む。参考にした範囲:1ページの一覧表のうち、気質・性格特性・感情理解・共感性・向社会的行動・自己概念・自己効力感・自尊心等の説明。原報告書と引用研究の全文は未確認。この資料で分からないこと:4〜6歳の発達を判定する表ではありません。「自己肯定感」をすべての研究で同じ意味とみなすこともできません。確認日:2026-10-06。

  2. Guide for Constructing Self-Efficacy Scales

    資料の種類:理論提唱者による概念・測定法の章。対象:一般的な概念と測定法の解説。参考にした範囲:307〜310頁の導入と、尺度の内容・活動領域を定める説明。後続の尺度例全体は未確認。この資料で分からないこと:自己効力感と自尊感情は異なります。幼児の望ましい得点や、記事の声掛けの効果を示す資料ではありません。確認日:2026-10-06。

関連研究の対象・結果・限界を読む

このサイトの編集方針