成長マインドセットとは?「どうせできない」と言う子への関わり方
この記事でわかること
「どうせ自分にはできない」と言う子に、「頑張ればできる」と返しても届かない。そんなときは励ましを重ねる前に、やり方や手伝い方を一つ変えてみます。成長マインドセットという、学びや経験で変わる余地を考える見方を、親子の会話から紹介します。

「できない」を、親子でどう受け止める?
今できないことを認めながら、ほかの方法があるか一緒に考えてみます。前向きな言葉を言わせることより、具体的な助けを選ぶ場面にしていきます。
- 難しかったところを聞き、「ここを一緒に見てみようか」と誘う。
- 道具を替える、手順を減らす、見本を見るなど、試す方法を一つ変える。
- 今は取り組みたくないときは、休んでから考える選択も残す。
声をかけるなら
「ここが難しかったんだね。紙を替えてみる?」
この記事の目次
「下手だから」「自分には無理」と言ったら
絵を描いて「私は下手」と言う
すぐに「上手だよ」と打ち消す前に、「どこを変えたかった?」と聞けます。「丸くしたかった」なら、大きい紙に替える、別の道具を使う、大人が一度見せる、といった具体的な相談に進めます。
ゲームに負けて「僕はできない子」と言う
勝敗と本人全体への評価を分けます。「負けて悔しかったね」と受け止め、落ち着いてからルールを確かめる、一緒のチームで遊ぶ、今日は終える、を選べます。悔しい最中に成長の話を聞かせる必要はありません。
すぐできた子を見て「私は無理」と言う
相手の速さを追わせる前に、本人がやりたいか、どこまで分かっているかを確認します。「最初の一つを一緒に見ようか」と、比較から目の前の工程に戻す方法があります。
紙やペンを替えて、描きやすさを比べよう
お絵描きで困ったときは、紙やペンを替えて描きやすさを比べてみましょう。
紙に好きな道を描くとき、「線が思うようにならない」と困ったら使えます。
- 子どもが変えたい所を一つ選びます。「まっすぐにしたい」など、本人の望みを大人が言葉にしても構いません。
- 太い筆記具に替える、紙を大きくする、大人と一緒に線を引くなど、方法を一つ変えて試します。
- 「前より上手?」と採点する代わりに、「どちらが描きやすかった?」と、使い心地を確かめます。
- 変化がなくても「この方法は合わなかったね」と整理し、別案にするか休むかを選びます。
本人が今の線を気に入っていれば、修正の練習に変える必要はありません。大人の見本をまねたい日も、自分で描きたい日もあります。「成長のため」に難しくし続けず、選んだ方法を楽しめる余白を残します。
「頑張ったね」に、工夫したことも添えてみよう
「頑張ったね」を禁止する必要はありません。ただ、その言葉だけで困り事を終わらせず、「大きい紙にしたら手を動かしやすかったね」「分からない所を聞いたんだね」と、実際の変化や選択を添えてみましょう。
「まだできないだけ」と言い換えても、それが「できるまで続けよう」という圧力になるなら、本人は休みにくくなります。「今日はここまで」「別の方法を探そう」「手伝いがいるね」も、選択肢に含めます。
大人が間違えたときに、「やり方を変えてみる」と説明するのも一案です。失敗をわざと演じたり、毎回教訓を付けたりする必要はありません。
こんなとき、どうする?
「頭がいいね」「上手だね」と言ってはいけませんか?
一度の言葉で子どもの見方が固定されると考える必要はありません。このサイトでは禁止語の表を作るより、本人が何を試したのかも一緒に見る関わりを提案します。ほめられるためだけに説明させないようにしましょう。
努力してもうまくいかないときは、どうしますか?
努力不足と決めず、手順、道具、課題の大きさ、使える助けを見直します。今は難しいこともあります。休む、やめる、別の活動を選ぶことを認めても、本人の価値は変わりません。
成長マインドセットで成績が上がりますか?
誰にでも同じ結果が出るとは言えません。参照レビューは学校での特定の介入や文脈を論じたもので、本記事の声かけによる効果を示していません。「考え方さえ変えればよい」と、学ぶ機会や支援の問題を本人に背負わせないことが大切です。
工夫しても、うまくいかないときは
「この方法も難しかったね。今日は休もうか」と区切れます。変えれば必ず成功するわけではありません。できるまで付き合い続けることを、親の宿題にしなくて大丈夫です。
今日は、励ます言葉より手伝い方を一つ変えよう
成長マインドセットを家庭で扱うなら、前向きな言葉の練習より、方法や支えを変える余地を具体的に示してみましょう。うまくいかない一場面を子ども全体の評価にせず、本人の希望を聞くことから始められます。
大人になってからも、こんな場面で
今うまくできないことを、これからも変わらないと決めつけない視点は、大人が学び直したり、方法を探し直したりするときの手がかりになります。
大人の暮らしに置き換えると、こんな場面が考えられます。
仕事の指摘を、次に学ぶ点として捉える
資料が分かりにくいと言われたら、「説明が苦手な人だから無理」で終わらず、構成や示し方を教わる。技能の今の状態と、学べる部分を分ける場面です。
新しい学びで、方法を変えてみる
読んでも分からない内容なら、実演を見る、質問する、課題を細かくするなどの方法を試す。前向きな言葉だけで押し切らず、学び方を具体的に変えられます。
関係の行き違いを、直せる部分から考える
話し合いがうまくいかなかったとき、時間帯や伝え方を振り返る。自分や相手の性格を丸ごと否定せず、次に変えられる行動を探す視点です。
努力すれば何でもかなうという姿ではなく、変わる余地と必要な支えを見つけ、試し直せる姿を考えます。
この例について、詳しく読む
YeagerとDweckのレビューの、能力・特性を発達しうると捉える信念の定義を参照しています。主な研究対象は学齢期以降で、成人場面例や幼児の将来効果の実証ではありません。[1] ここに挙げた生活場面は、定義から考えた編集部の例です。ここで紹介した遊びをすれば、将来このようになると示されたわけではありません。
言葉の意味を、もう少し詳しく
YeagerとDweckのレビューでは、人の知的能力や特性を、固定的なものと捉えるか、発達しうるものと捉えるかという信念を扱っています。『Mindsets That Promote Resilience』pp.302–303[1]
「学び方や経験で変わる余地がある」が成長マインドセットなら、「今の自分ならこの作業ができそう」は自己効力感です。また、グリットは長期目標に向ける情熱と持続、粘り強さは取り組み方に関わります。関連する言葉でも、すべてを「やる気」の意味にまとめないようにしましょう。
このレビューの中心は学齢期以降の学校での研究です。結果をそのまま4〜6歳の家庭の一言へ置き換えたり、毎日の声かけで将来の成績が決まると説明したりはできません。
資料の対象と、この記事で参考にしたこと
出典確認日:2026年10月6日。YeagerとDweckの「Mindsets That Promote Resilience」[1]は2012年の理論提唱者によるレビューで、導入・定義のpp.302–303を中心に確認しました。全研究の再評価や幼児家庭での効果確認は行っていません。活動例と声かけは編集部案で、効果を保証するものではありません。
似ている言葉も知りたいときに
参考にした資料
言葉の説明は以下の資料を参考にしています。遊びや声かけは家庭向けに考えた例で、同じように試せば必ず効果があるというものではありません。
資料の一覧と、参考にした内容
- Mindsets That Promote Resilience: When Students Believe That Personal Characteristics Can Be Developed
資料の種類:理論提唱者による研究レビュー。対象:主に学齢期以降の学業や社会的困難。参考にした範囲:302〜303頁の導入と定義、310頁の学校環境に関する段落。全14頁の確認ではありません。この資料で分からないこと:定義と適用範囲の参考です。4〜6歳への一言の効果や、努力すれば必ず成功することを示しません。確認日:2026-10-06。



