能力別に探す

自己効力感とは? 子どもの「これならできそう」を支える関わり

この記事でわかること

まだ試していないのに「できない」と言う。励ましても、始めようとしない。そんなときは「頑張って」だけでなく、「ここを持っていようか」と助け方を具体的にする案があります。自己効力感という「これならできそう」という見通しを、着替えや遊びの場面から解説します。

「非認知能力 × 自己効力感」の文字と、積み木が崩れて残念そうな子どものそばで待つ大人の水彩イラスト

「できない」と言う子に、何を聞けばいい?

何ができないと思っているのか、具体的な部分に分けて聞いてみます。全部を一人でできるようにさせようとせず、試せそうな部分を一つ探すところから始めます。

  • 「ボタンが難しい? 袖が引っかかる?」と、困っている場所を確かめる。
  • 「最初だけ一緒にやってみる?」と、手伝う範囲を相談する。
  • 試した後は「ここは自分でできたね」と、実際にしたことを確かめる。

声をかけるなら

「ここを一緒にしたら、次はできそうかな?」
この記事の目次

着替えやパズルで「できない」と言ったら

ボタン留めを始める前に頼んでくる

「全部できるよ」と返す前に、一つ目だけなのか、小さな穴に通すところなのかを見ます。「大きいボタン一つならどうかな」「私が布を持つ?」と条件を具体的にします。

初めてのパズルを前に、手が止まる

絵が複雑で始め方が分からないなら、端の一片を一緒に探すところから。大人が完成させて渡すより、本人が試したい部分を残す案があります。見るだけを選ぶこともできます。

家ではできるのに、人のいる場所で遠慮する

家での成功を証拠に「できるはず」と押さず、その場でやりやすい加わり方を聞きます。大人の隣、少人数、指さしなど、条件を変えた試し方を選べます。

ぬいぐるみの着替えで、できそうなところから

ぬいぐるみと、着せやすい服を用意します。

ぬいぐるみの服を着せる遊びなら、まず「袖を通す」「前を合わせる」「留める」のうち、どこをやってみたいか聞きます。言葉で選びにくければ、大人が実物を指して示します。

  1. 本人が選んだ一部分を試します。大人は勝手に難しい工程を追加しません。
  2. 困ったら、「見本を見る」「布を持ってもらう」「大きい服に替える」など、手助けを一つ選びます。
  3. 試した後は「自分でここに手を入れたね」「押さえると留めやすかったね」と、本人の行動と助けの両方を確かめます。
  4. 続ける、休む、服を着せる役を交代する、から次を選べます。

最初から全部を自力でできるようにする必要はありません。慣れた後も、手助けを外す前に「今度はどうする?」と聞きます。昨日できたことを今日断ったときは、約束違反として扱わず、その日の希望を確認します。

「絶対できるよ」が届かないときの声かけ

励ましたいときにも、結果を約束せず具体的な条件を伝えられます。「この道具なら持ちやすそう」「最初は一緒にやろう」「どこを手伝うと始められそう?」などです。

失敗した後は、「気にしないで」と急いで終わらせず、「ここで引っかかったね」と状況を確認します。本人が望めば、道具や手順を変えてもう一度。成功したときも、実際には大人がした部分を、全部本人がしたことにしてほめる必要はありません。何ができ、何が支えになったかを共有できます。

こんなとき、どうする?

何でも「できる」と思わせた方がいい?

何でもできると思わせることを目標にはしません。今の課題、使える助け、難しい部分に合った見通しを、一緒に確かめることができます。本記事には、幼児の「理想の高さ」を判断する基準はありません。

簡単な課題で成功させれば育ちますか?

成功の回数だけで変化を保証することはできません。本人が何をしたいか、どこなら参加できるかから課題を選びます。大人が成功を演出し続けるより、本人の試したことと手伝いが役立ったところを具体的に伝えてみましょう。

親が手伝うと、自信を奪いませんか?

「手伝うか、見ているか」を聞いて、必要な箇所に絞る方法があります。本人が頼んだ支えを使うことと、すべてを大人が引き取ることは分けて考えられます。自力だけを成功の条件にしないようにしましょう。

手伝っても、やりたがらないときは

「今日は私がここをするね」と引き受けたり、後で試したりできます。自分でやる部分を必ず残そうと頑張りすぎず、本人がやってみたいと言ったときに、手伝い方を相談しましょう。

今日は「どこを手伝おうか」と聞いてみよう

自己効力感を考えるときは、「自信のある子にする」という大きな目標を、目の前の「何なら、どんな助けで試せそうか」に置き換えてみましょう。できそうかどうかを聞き、課題と支えを調整するところから始められます。

大人になってからも、こんな場面で

具体的な作業に対して、どんな準備や支えがあれば取り組めそうかを見積もることは、大人が新しい課題に向かう場面でも役立つ視点です。

大人の暮らしに置き換えると、こんな場面が考えられます。

仕事で、試せる範囲を決める

初めての担当でも、手順を見ながら一部分ならできそうと考える。分からない範囲は確認し、いきなり全部を引き受ける以外の始め方を選べます。

学び直しで、経験を手がかりにする

以前できた作業や、練習で変わった点を思い出して、次に試す課題を選ぶ。「何でもできる」ではなく、この課題に対する見通しを少しずつ確かめます。

暮らしで、自分でできることと頼むことを分ける

新しい手続きに取り組むとき、説明を読めばできそうな部分と、窓口に聞きたい部分を分ける。支援を使うことも、実行できる見込みを立てる一部になります。

根拠なく強気になる姿ではなく、課題と条件を見て、「ここなら試せそう」を持てる姿です。

この例について、詳しく読む

Banduraの、領域・状況に応じた行動を実行できるという信念の定義を参照しています。[1] ここに挙げた生活場面は、定義から考えた編集部の例です。ここで紹介した遊びをすれば、将来このようになると示されたわけではありません。

言葉の意味を、もう少し詳しく

提唱者のBanduraは、自己効力感を活動領域や状況に応じた信念として説明し、自尊感情とは区別しています。自尊感情が自分の価値の受け止め方を扱うのに対し、自己効力感は具体的な行動を実行できるという見込みです。Bandura『Guide for Constructing Self-Efficacy Scales』pp.307–309[1]

「自己肯定感」という日本語は幅広く使われますが、「何でもできる自信」と混ぜない方が、必要な支えを考えやすくなります。着替えに自信がない日も、その子の価値が低くなるわけではありません。

さらに、「今、このボタンを留められそう」という自己効力感と、「練習や学びでできることは変わりうる」という成長マインドセットも別の見方です。意欲を表す「やりたい」と、実行できる見込みの「できそう」も、分けて聞いてみましょう。

資料の対象と、この記事で参考にしたこと

出典確認日:2026年10月6日。Banduraの「自己効力感尺度の構成ガイド」[1]は測定法を扱う章で、pp.307–310の定義・概念の区別を主に参照しました。一般的な理論説明であり、4〜6歳の家庭の声かけの効果や、幼児用の標準値を示した資料ではありません。本文の活動と声かけは編集部案です。

似ている言葉も知りたいときに

自己肯定感・自己効力感などの比較ガイドへ →

気になる場面から遊びや声かけを探す →

参考にした資料

言葉の説明は以下の資料を参考にしています。遊びや声かけは家庭向けに考えた例で、同じように試せば必ず効果があるというものではありません。

資料の一覧と、参考にした内容
  1. Guide for Constructing Self-Efficacy Scales

    資料の種類:理論提唱者による概念・測定法の章。対象:一般的な概念と測定法の解説。参考にした範囲:307〜310頁の導入と、尺度の内容・活動領域を定める説明。後続の尺度例全体は未確認。この資料で分からないこと:自己効力感と自尊感情は異なります。幼児の望ましい得点や、記事の声掛けの効果を示す資料ではありません。確認日:2026-10-06。

関連研究の対象・結果・限界を読む

このサイトの編集方針