能力別に探す

子どもが自分で選ぶ力を育むには? 迷ったときの声かけと手助け

この記事でわかること

「どっちがいい?」と聞いても決まらない。「ママが決めて」と言われる。自分で選べるようになってほしいときは、いきなり全部を任せず、実際に選べる二つから試す方法があります。選んだ後に困ったときも、一緒に考え直す関わりを紹介します。

意思決定。能力に合わせた親子や友達の場面を描いた水彩画。

「自分で決めて」と言う前に、できること

選ぶことには、何が違うか分かることや、試した後の様子を想像することも関わります。まずは日常の小さな選択から、親も一緒に考えてみましょう。

  • 服や遊びは、どちらを選んでもよいものを二つ見せる。
  • 迷っていたら「どっちが気になる?」と聞き、可能なら少し試す。
  • 選んでから変えたくなったときは、今変えられるかを一緒に確認する。

声をかけるなら

「少し試してから選んでもいいよ。」
この記事の目次

道具の取り合いや遊びの相談、どう手伝う?

同じ道具を二人で使いたい

先に譲れる方を褒める前に、双方の希望を聞きます。「交代する」「別の道具を探す」「今は貸さないと伝える」などを候補にし、相手の返事も確かめます。相手の物を使いたいときは、先に借りてもよいか確かめます。

作った道におもちゃが通らない

「道を広げる」「小さい車にする」など、変えられる場所を探します。大人がすぐ完成させず、本人が気になった案を短く試せるようにします。物づくりの工夫として考えたい日は、創造性のページも入口になります。

遊びの希望が分かれた

外遊びができない日なら、最初から「外と家、どちらがいい?」と聞かず、「今日は家で過ごすよ。工作とお話、どちらにする?」と範囲を伝えます。本人から第三の案が出たら、実現できるか一緒に確かめます。

人形の椅子を作って、選ぶ・試すを楽しもう

おもちゃの人形に座る場所を作る、といった小さな遊びで試せます。

  1. 「人形が倒れるね」と、困っていることを一つだけ言葉にします。「作り方が下手」という本人の評価にはしません。
  2. 紙を折った台にする、箱を使うなど、用意できる二案を出します。子どもの案があれば加えます。
  3. 「どちらを試す?」と選び、置いてみます。結果を見て「倒れたね。どこを変えようか」と相談します。
  4. もう一案を試す、手伝ってもらう、今日は終える、のどれでも区切れます。

これは4〜6歳の能力を測定する課題ではありません。何個の案が出たかより、選んだ案を変えてよいと伝えるための遊びです。考えが出ない日は、大人が一案を試すのを見ているだけでも構いません。

人との希望の違いを扱いたいときは、「ふたつの案で、どうする?」の実践につなげられます。実際に道具を取り上げて、困る状況を作る必要はありません。

子どもに任せること、親が決めること

選ばせることと、すべてを子どもに任せることは同じではありません。道路へ出る、熱い物を触るといった危険は大人が止めます。その上で「ここでは手をつなぐよ。右手と左手、どちらがいい?」のように、子どもが選べることを聞きます。

共同の遊びでは「自分はよくても相手はどうか」を確かめます。ただし、必ず相手に合わせることを結論にせず、大人への相談や別々に遊ぶ案も残します。

こんなとき、どうする?

いつも「分からない」と言います

何を選べばよいか分かりにくそうなら、目の前の二つの道具を見せてみます。「まず一緒に試す」も選べるようにし、即答を求めません。決断の速さを競わせる必要はありません。

選んだ後に変えたがります

変えられるものなら、何が合わなかったかを聞いて選び直せます。人との約束がある場合は、黙って変えるのでなく、相手に伝えて相談します。選択と、その影響を考えることをセットにします。

親がヒントを出すと、自分で考える力を妨げますか?

「完全に任せるか、正解を教えるか」の二択にしなくて構いません。「ここが狭いね」と事実を示す、二案を見せる、一緒に試すなど支え方を選べます。紹介した資料は、このヒントの量ごとの効果を検証したものではありません。

時間がなくて、待てないときは

「今日は出発の時間だから、私がこちらを用意するね」と親が決める日もあります。選ぶ練習は、時間に余裕があるときの服や遊びから。すべての場面を練習にしなくて大丈夫です。

今日は、選べることを一つ任せてみよう

意思決定・問題解決は、一度で正しい案を出す場面だけではありません。希望を出し、結果を見て、必要なら助けを借りて選び直す。そのやり取りを、家族が扱える小さな困りごとから試してみましょう。

大人になってからも、こんな場面で

選択肢と影響を比べ、選んだ後にも考え直すことが、納得できる決め方につながります。

大人の暮らしに置き換えると、こんな場面が考えられます。

仕事の案を比べる

  • 早さだけでなく、費用、安全、使う人の負担を確かめる。
  • 分からない条件は調べたり相談したりして、判断に必要な情報を揃える。

人との予定

  • 休日の希望が違えば、時間を分ける、別々に過ごすなどの案を出す。
  • どちらかが全部譲る前に、自分と相手の希望がどう扱われるか考える。

暮らしの選択を見直す

  • 住む場所や大きな買い物で、予想と違う負担が分かれば条件を見直す。
  • 一度決めたことでも、新しい情報で選び直す余地を持つ。

いつも正解を出すことより、選ぶ理由を確かめ、必要なら決め直せる姿を考えます。

この例について、詳しく読む

CASELの責任ある意思決定に含まれる情報の分析・結果の検討・振り返りを参照しています。[1] ここに挙げた生活場面は、定義から考えた編集部の例です。ここで紹介した遊びをすれば、将来このようになると示されたわけではありません。

言葉の意味を、もう少し詳しく

CASELの「責任ある意思決定」は、行動や人との関わりについて、安全や結果を考慮して選ぶことを扱います。情報を分析する、問題の解決策を考える、行動の結果を振り返ることも含まれます。CASELの責任ある意思決定[1]

そのため、問題解決を「勉強とは別の、気持ちだけの能力」と説明するのは適切ではありません。覚えていること、言葉の理解、見通しを立てる思考も使います。自己制御が行動の調整に注目するのに対し、このページは「どの方法を選び、その後どう確かめるか」を扱います。

国立教育政策研究所の一覧にも、対人関係の葛藤を扱う「社会的問題解決」があります。ただし、問題解決には物の仕組みを調べる場面もあり、すべてを対人スキル一つにまとめることはできません。社会情緒的コンピテンスの一覧[2]

育む活動

意思決定では、試せる案を選び、実際の様子を見て選び直す場面を考えます。大人が安全な選択肢を用意し、選ばない・助けを頼む方法も残します。

気になる活動を選ぶと、遊び方と道具を確認できます。年齢は選ぶ目安です。順番に取り組む必要はなく、途中で終えても構いません。

箱と厚紙を用意した低い場所で、子どもが選んだ箱に人形を座らせて試している4歳の家庭向けの例・3〜5分の目安箱と厚紙を試し、人形の座る場所を選ぶ箱と厚紙に人形を座らせてみます。どちらが座りやすいか、実際に試しながら選んでみましょう。遊び方・道具・関わり方を見る

遊び方

  1. 低い机や床に、人形と、台にする空き箱・折った厚紙を置きます。台は人形用です。
  2. 「どちらに座らせようか?」と聞き、選んだ台に置いてみます。
  3. 倒れたらもう一方も試します。どちらも難しければ、大人と置き方を変えてみます。

用意するもの

  • 小さな人形
  • 低くて丈夫な空き箱
  • 折りたたんだ厚紙

足りない道具を探す

まず家にある物で。買い足す場合は、商品例のページで仕様を確認できます。

使う道具

人形・ぬいぐるみ

二つの椅子に座らせて試す

この道具でできる遊びを見る →

家にある物なら:家の人形や紙に描いた登場人物。服を巻く遊びは丸めたタオルでも。

商品例:IKEA ファブレル ビョーン 21cm

道具を使うときの注意

手順に合う大きさを選びます。同じ商品を買いそろえる必要はありません。

イラストは道具のイメージです。購入リンクには商品の一例を挙げていますが、この商品でなければ遊べないという意味ではありません。購入前に製品の対象年齢と注意表示を確認してください。

使う道具

工作用の厚紙

折って人形用の椅子を作る

この道具でできる遊びを見る →

家にある物なら:清潔な空き箱の厚紙を大人が用意します。

商品例:コクヨ 板目表紙 A4 10枚 セイ-830N

道具を使うときの注意

切断は大人が行います。人形用の椅子に人は乗りません。

イラストは道具のイメージです。購入リンクには商品の一例を挙げていますが、この商品でなければ遊べないという意味ではありません。購入前に製品の対象年齢と注意表示を確認してください。

大人の関わり方・注意

安全で実行できる案を用意し、どちらを選んでも受け止めます。危険を止める判断は大人が担います。

準備・注意
台は人形用で、人は乗りません。低い位置で使い、箱の角・切り口が安全か大人が確認します。

難しそうなら・もう少し楽しむなら

難しそうなら

大人が二案に順番に置くのを見てから、気になる方を指さしてもらいます。

もう少し楽しむなら

選んだ台に紙を一枚足して、人形の向きや置き場所を変えてみます。

やめどき
倒れて嫌になったら人形を床へ置いて終えます。もう一案を選ぶことも、見るだけも選べます。

紙の車道を選び、通りにくければ変えてみるを親子で試している場面5歳の家庭向けの例・5〜10分の目安紙の車道を選び、通りにくければ変えてみる二つの紙の道から好きな方を選び、車を走らせます。通りにくかったら道を動かしたり、もう一方を試したりしてみます。遊び方・道具・関わり方を見る

遊び方

  1. 床に紙の帯を並べ、幅や曲がり方の違う道を二つ作ります。
  2. 子どもが道を選び、車をゆっくり走らせます。
  3. 引っかかったら「広げる? 別の道を通る?」と聞き、子どもが選んだ方法を試します。
  4. もう一度車を走らせ、通り方が変わったか見ます。途中で選び直しても構いません。

用意するもの

  • 大きめのおもちゃの車1台
  • 道幅を示す紙の帯2組
  • 大きな紙

足りない道具を探す

まず家にある物で。買い足す場合は、商品例のページで仕様を確認できます。

使う道具

大きめの玩具の車・電車

二通りの道を選んで試す

この道具でできる遊びを見る →

家にある物なら:家の車・電車や、車に見立てた丈夫な小箱。

商品例:BRIO マイファースト ビギナーセット 33727

道具を使うときの注意

脱落する小さい部品を避けます。電動機能は不要です。

イラストは道具のイメージです。購入リンクには商品の一例を挙げていますが、この商品でなければ遊べないという意味ではありません。購入前に製品の対象年齢と注意表示を確認してください。

使う道具

紙・画用紙

道幅を示す帯と大きな紙

この道具でできる遊びを見る →

家にある物なら:裏紙や手元の紙。数枚を並べても大丈夫。

商品例:マルマン 図案スケッチブック B4 S120

道具を使うときの注意

普通の紙でできる活動に厚い紙は必要ありません。

イラストは道具のイメージです。購入リンクには商品の一例を挙げていますが、この商品でなければ遊べないという意味ではありません。購入前に製品の対象年齢と注意表示を確認してください。

大人の関わり方・注意

できた・できないだけでなく、何が通った・どこで止まったかを一緒に見ます。実際に失敗させるために作品を壊しません。

準備・注意
大きめの車を低い床でゆっくり動かします。紙の道は人が歩く場所からよけます。

難しそうなら・もう少し楽しむなら

難しそうなら

大人が車を動かし、止まったところを子どもに指してもらいます。

もう少し楽しむなら

本人の第三の案として、曲がる道や途中の駐車場を足して試します。

やめどき
試すのが疲れたら大人が車を動かします。道が通れるまで直さず、今の形で終えても。

道具を一緒に使う方法を、カードで相談するを親子で試している場面6歳の家庭向けの例・5〜10分の目安道具を一緒に使う方法を、カードで相談する二人とも同じ色のペンを使いたいとき、どうしましょう。交代する、別の色を使うなど、相談した方法でお絵描きをしてみます。遊び方・道具・関わり方を見る

遊び方

  1. ペンの絵を描いたカードを使い、「二人とも青を使いたい」という場面で遊びます。本物のペンは二人分用意します。
  2. 交代で使う、ほかの色から描くなどの案を出します。二人とも試したい方法を選びます。
  3. 実際に絵を描きながら試します。待ちにくければ「先にほかの色を使う?」と相談し直します。
  4. 「この順番でよかった?」と聞きます。次に変えるときも、先に相手へ伝えるようにします。

用意するもの

  • 紙で描いたペンのカード
  • 描きたい物の絵2枚
  • 二人分の本物の色鉛筆と紙

足りない道具を探す

まず家にある物で。買い足す場合は、商品例のページで仕様を確認できます。

使う道具

紙・画用紙

架空のカードと二人分の描く紙

この道具でできる遊びを見る →

家にある物なら:裏紙や手元の紙。数枚を並べても大丈夫。

商品例:マルマン 図案スケッチブック B4 S120

道具を使うときの注意

普通の紙でできる活動に厚い紙は必要ありません。

イラストは道具のイメージです。購入リンクには商品の一例を挙げていますが、この商品でなければ遊べないという意味ではありません。購入前に製品の対象年齢と注意表示を確認してください。

使う道具

描きやすい色鉛筆

本物は二人分用意し、相談した後に描く

この道具でできる遊びを見る →

家にある物なら:家の色鉛筆・クレヨン。大人の代筆もできます。

商品例:くもん こどもいろえんぴつ 6色 SE-23

道具を使うときの注意

握りやすさを本人と確かめます。色数や細い描写は求めません。

イラストは道具のイメージです。購入リンクには商品の一例を挙げていますが、この商品でなければ遊べないという意味ではありません。購入前に製品の対象年齢と注意表示を確認してください。

大人の関わり方・注意

相手を優先する答えだけを褒めません。道具を取り上げて困らせず、所有者の断る意思と安全を守ります。

準備・注意
本物の色鉛筆は二人分用意します。道具を取り上げて困らせず、紙のカードで架空の相談をします。

難しそうなら・もう少し楽しむなら

難しそうなら

大人が二人分の希望を説明し、子どもは案のカードを選ぶ役だけにします。

もう少し楽しむなら

本人から第三の案が出たら、安全と相手の希望を確認して加えます。多数決を急ぎません。

やめどき
話し合いがつらくなったら別々に描きます。一つの約束を決めるまで続けず、大人が案を出しても。

声かけ

場面に合う一言から。言いやすい形に変えて構いません。

言えば効果が出る決まった言葉ではありません。返事を急がず、その日の希望に合わせて変えられます。

参考にした資料

言葉の説明は以下の資料を参考にしています。遊びや声かけは家庭向けに考えた例で、同じように試せば必ず効果があるというものではありません。

資料の一覧と、参考にした内容
  1. What Is the CASEL Framework?

    資料の種類:枠組み作成機関による公式説明。対象:就学前から成人を含む教育の枠組み。参考にした範囲:自己理解・自己管理・社会への気づき・人間関係・意思決定の定義と、発達段階や環境についての公式説明。動画・配布資料は未確認。この資料で分からないこと:家庭用の診断検査ではありません。掲載する遊びはCASELの公式プログラムではありません。確認日:2026-10-06。

  2. 表2 社会情緒的コンピテンスの一覧

    資料の種類:公的研究の概念整理表。対象:乳児期から青年期等、異なる発達段階を含む。参考にした範囲:1ページの一覧表のうち、気質・性格特性・感情理解・共感性・向社会的行動・自己概念・自己効力感・自尊心等の説明。原報告書と引用研究の全文は未確認。この資料で分からないこと:4〜6歳の発達を判定する表ではありません。「自己肯定感」をすべての研究で同じ意味とみなすこともできません。確認日:2026-10-06。

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