実行機能とは? 支度・片付けが進まない子への手助け
この記事でわかること
「着替えて、かばんを持ってきて」と言ったのに、途中で別の遊びを始めてしまう。何度も言い直す前に、一度に伝えることを一つにしてみる方法があります。実行機能という言葉を、覚える・待つ・切り替えるといった日常の場面から説明します。

言ったことが途中で抜けてしまうときは
準備や片付けでは、いくつものことを覚えながら動く必要があります。まず伝え方と物の置き方を見直して、どこで困っているか一緒に確かめます。
- 「まず靴下を履こう」と、一つずつ短く伝える。
- 持っていく物を並べたり、絵で示したりして、一緒に確認する。
- 途中で止まったら、覚えているかを試すより「次はこれだったね」と確かめる。
声をかけるなら
「まず靴を持ってこよう。それができたら次を伝えるね。」
この記事の目次
朝の支度が止まったら、どこを変えられる?
「靴下をはいて、帽子を持って、かばんを玄関へ」と伝えた後に動きが止まったとします。「さっき言ったでしょ」と繰り返す前に、伝える内容を一つに減らしてみます。「まず靴下」と実物を指して、終わったら次を知らせる方法です。
何をするか分かっていても、帽子の置き場所が毎回違えば探す作業が増えます。置き場所を決める、写真を置く、大人が最初の動作を一緒にするなど、本人が使える手掛かりを用意できます。
絵や親の手助けを使って準備が進めば、それでかまいません。急ぐ日は一緒にやってみましょう。
色分け・形分けで遊んでみよう
色と形が違う大きめの紙を数枚用意します。紙の数や手順は子どもの様子に合わせ、難しくすること自体を目標にしません。
- 大人と一緒に、同じ色を近くに置きます。分類の見本を目の前に残して構いません。
- 本人が続けたそうなら、「次は丸と四角に分けてみよう」と新しい分け方を伝え、一枚だけ大人が動かします。
- 迷ったらルールを言い直すだけでなく、形の印を置きます。元の分け方に戻す、今日は終わることも選べます。
間違いの数や速さは採点しません。子どもが「道にしたい」と別の遊びを始めたら、ルールを理解していないと決めつけず、何をしたいのか聞きます。
合図に合わせる遊びが好きなら、「玩具の乗り物を、合図で動かしたり止めたりする」の実践も候補です。同じ遊びが上手になったことと、支度や友達とのやり取りまで変わったことは、別々に見ていきます。
こんなとき、どうする?
6歳までに完成させる必要がありますか?
そのような期限ではありません。Harvardの発達研究センターは、実行機能に関わる力が青年期から成人初期にかけても発達を続けると説明しています。幼児期の姿を最終的な能力として決めないでください。InBrief: Executive Function[2]
ゲームが苦手なら実行機能が低いのでしょうか?
この家庭の遊びは検査ではありません。ルールが伝わっているか、その遊びをしたいか、見やすいかも確かめましょう。困る場面を共有する場合は、点数を付けるより「何を伝え、どこで止まり、何が手掛かりになったか」を残す方が具体的です。
遊びを毎日繰り返すべきですか?
この記事の案に、効果を保証する回数はありません。参照レビューの対象は3〜6歳の園での介入で、家庭版の毎日の実施を検証してはいません。本人の関心と家族の負担を見て選びます。[1]
一つずつ伝えても、支度が進まないときは
服が着にくいのか、物が見つからないのか、疲れているのか、目の前の様子を確かめます。急ぐ日は一緒に準備して、置き場所の見直しは後から。困る場面が続くときは、園での様子も聞いてみましょう。
まずは、一度に伝えることを一つにしよう
実行機能を知る意味は、子どもに新しい点数を付けることではなく、必要な情報や手順をどう渡すか考えることにあります。一度に伝える量を減らす、見える形にする、一緒に始める。困っている場面に合う方法を一つ試してみましょう。
園や学校へ伝えるなら、「どんな場面で困るか」「本人の様子」「試して楽になった手助け」を一つずつ。「朝の支度で次にすることが分からなくなります。一つずつ伝えると動きやすいようです。園ではどうでしょうか」のように、家庭の様子から相談できます。
大人になってからも、こんな場面で
情報を覚えて使う、反応を抑える、手順を切り替える働きは、大人の日常でも組み合わさって使われます。メモや道具で負担を減らすことも含めて考えましょう。
大人の暮らしに置き換えると、こんな場面が考えられます。
仕事で、条件を覚えながら段取りを組む
締め切りや依頼内容を確かめて、作業の順番を決める。頭の中だけで覚え続けず、一覧や予定表を使って、必要な情報を見ながら進める場面です。
予定変更に、別の手順で対応する
電車が止まったら、いったん元の予定を離れ、別の経路を探し、連絡が必要な人を確かめる。状況に合わせて考え方を切り替える働きが関わります。
会話で、今必要な情報を扱う
相手の説明を聞きながら、前に聞いた条件と結びつけて質問する。途中で答えたくなっても、話の続きを聞くなど、複数の働きが使われる場面です。
すべてを頭の中で処理できる大人を理想にせず、必要な情報や道具を使いながら、行動の段取りを調整できる姿を考えます。
この例について、詳しく読む
Harvardの実行機能の科学的解説にある情報の保持・反応の抑制・切り替えを参照しています。[2] ここに挙げた生活場面は、定義から考えた編集部の例です。ここで紹介した遊びをすれば、将来このようになると示されたわけではありません。
実行機能と、自分の行動を整える力のつながり
自己調整は、自分の目標に向けて気持ちや思考、行動を調整する広い見方です。実行機能は、その調整に関わる認知過程に焦点を当てます。ただし、研究ごとに境界や使う測定は異なり、すべての資料で同じ上下関係に整理されているわけではありません。[1]
このサイトでは、自己制御は待つ・切り替える生活場面を探す入口、このページは関連する仕組みを理解する入口として分けています。大人の指示にすぐ従うことだけを、実行機能の高さとは捉えません。
覚える・待つ・切り替える、三つの働き
実行機能は、やろうとしていることを進めるために使う、頭の働きです。よく使われる整理には次の三つがあります。
| 働き | 日常の例 |
|---|---|
| 覚えて使う(ワーキングメモリ) | 持っていく物を覚えながら探す |
| いったん止める(抑制) | 合図を待ってから道具を動かす |
| 切り替える(認知的柔軟性) | 色で分けた物を、今度は形で分ける |
日常では、これらが一緒に使われます。支度が進まない一場面だけで、どの働きが弱いかを決めることはできません。幼児の実行機能を扱ったレビュー[1]
似ている言葉も知りたいときに
参考にした資料
言葉の説明は以下の資料を参考にしています。遊びや声かけは家庭向けに考えた例で、同じように試せば必ず効果があるというものではありません。
資料の一覧と、参考にした内容
- Interventions and Approaches Targeting Early Self-Regulation or Executive Functioning in Preschools: A Systematic Review
資料の種類:査読系統的レビューの出版社全文HTML。対象:3〜6歳、複数国の園。参考にした範囲:導入、自己調整と実行機能の概念、目的、研究対象の説明。補遺と個々の研究の原著は未確認。この資料で分からないこと:用語の関係は研究によって異なります。ゲームの上達と日常生活での変化は区別して考えます。確認日:2026-10-06。
- InBrief: Executive Function
資料の種類:研究機関による科学的解説。対象:幼児期から青年期・成人初期への発達を説明。単一標本の調査ではない。参考にした範囲:公式解説のうち、定義と発達期間についての二段落。リンク先PDFと個別研究は未確認。この資料で分からないこと:個別介入研究の原著ではない / 6歳までの完成や個人の発達予測を支持しない。確認日:2026-10-06。


