親の困りごとから読む

「何を描けばいい?」と聞く子に、見本を見せてもいい?

この記事でわかること

見本を見せても構いません。ただ、「これと同じに描こう」と完成形を決める前に、何に困っているか確かめましょう。題材を迷っているのか、描き方を知りたいのかで、手伝うところが変わります。

「何を描けばいい?」と聞く子に、見本を見せてもいい?
この記事の目次

「何を描くか」と「どう描くか」を分ける

白い紙の前で止まっていたら、「描くものを一緒に考える?それとも描き方を見たい?」と聞きます。何をしたらいいかわからない子に「自由に描いて」と繰り返しても、手がかりは増えません。

題材なら「今日見たものを描く?線だけ描いてみる?」と入口を少なくします。描きたいものが決まっているなら、「どの部分からならできそう?」と聞き、困っているところだけ手伝います。返事がなければ、まず親が自分の紙に線を一本描いてみてもよいでしょう。

見本は、別の紙で小さく見せる

子どもの紙をいきなり直すより、別の紙に一部分を描きます。「丸をつなげる方法もあるよ」と示して、そのあとは本人に戻します。使うかどうか、色や大きさをどうするかは子どもが選べます。

親の絵をまねしたい日もあるでしょう。まねたことだけで創造性がないと判断しません。逆に、独自性を出させようと「少し違うものにして」と求める必要もありません。本人が今、どこを描いてみたいのかを大切にします。

  • 題材のヒント:実物、散歩の写真、好きなぬいぐるみを眺める。
  • 道具のヒント:太い線・細い線など、使い方だけ試してみる。
  • 描き始めのヒント:点を置く、好きな色を一つ広げる。

「上手?」と聞かれたら、見えたことを返す

「ここを長くしたんだね」「黄色をたくさん使ったね」と、絵の中の具体的な部分を言葉にします。ほめてはいけないという意味ではありません。「私はこの色が好き」と親の感想を伝えてもよいのです。

何を描いたか当てようとしすぎず、「話したいところ、ある?」と誘ってみます。本人が説明したくなければ、そのまま眺めます。空が緑でも、人の腕が何本あっても、作品を現実に合わせて直すことを急ぎません。

うまく描けず怒ったら、いったん止める

「思った形にならなかったんだね。別の紙を使う?今日はやめる?」と、続ける以外の選択肢も置きます。すぐに「それもいい絵だよ」と説得しても、本人の悔しさが残ることがあります。

「描いて」と頼まれたら、「全部描いてほしい?この丸だけ?」と範囲を相談します。親が手伝った部分があっても、その時間を失敗扱いしません。休んでから実物を一緒に見る、貼り絵に変えるなど、違う入口も選べます。

毎回、作品にしなくていい

親に余裕がない日は、紙と描きやすい道具を出して「今日はとなりで見ているね」で十分です。立派な題材を考えたり、完成まで励ましたりしなくても構いません。

ぐるぐる描いて終わる日も、色を混ぜて終わる日もあります。飾る・持ち帰る・写真に残すかは本人と相談します。完成品だけを評価するより、試したり描き直したりする時間を邪魔しない関わりを目指します。

4・5・6歳ごろなら、こんな工夫も

年齢は目安です。その日の様子や、本人が使いやすい方法に合わせて選んでください。

4歳ごろ

描きたいものを言葉にできないときは、道具や色を一つ選ぶところから。

5歳ごろ

「この部分の描き方を見たい」など、手伝ってほしいところを一緒に探します。

6歳ごろ

図鑑や実物を見て描きたい子には、その方法も認めます。独創的に描くよう強制しません。

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参考にした資料

子どもの気持ちや主体性を尊重する関わりについて、以下の資料を参考にしています。会話や年齢別の工夫は編集部が考えた例です。

資料の一覧と、参考にした内容
  1. 文部科学省「幼稚園教育要領」(平成29年告示)

    本文p.17–18・第2章「表現」。領域「表現」の、素材や表現方法に親しみ、表す過程を楽しむという考え方を参照。見本の有無を比較した実験ではありません。 家庭での会話や手順は編集部の提案です。

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