「相手の気持ちを考えて」が伝わらないとき
この記事でわかること
「気持ちを考えて」だけで伝わらないときは、「今、何が起きたか」と「次に何をするか」を短く伝えましょう。相手の心を言い当てさせるより、本人に聞き、嫌だと言われたことを止めるやり取りを一緒に試します。
この記事の目次
気持ちより先に、起きたことを伝える
弟の積み木を崩した子に「相手の気持ちを考えて」と言っても、黙ったまま。親は分かっているのに反省しないのか、と感じるかもしれません。まず「弟はまだ作っていた。崩されて泣いている」と、見える出来事を一つずつ伝えてみます。
危ない行動や、相手が嫌だと言っている行動は、その場で止めます。理由を説明できるようになるまで待つ必要はありません。「崩すのはここで止めるよ」と境界を示してから話します。
- 「何が起きた?」を大人が短く整理する。
- 「本当は悲しいんだよ」と相手の感情を断定しない。
- 興奮しているときは、長い話を後にする。
自分のつもりと、相手の受け取り方を分ける
「面白いと思った」「遊んでいただけ」と返ってきたら、その説明を一度聞きます。「面白いと思ったんだね。でも、弟はやめてと言っていた」と両方を並べます。本人のつもりを聞くことと、その行動を認めることは別です。
「自分がされたら?」で理解できる場合もありますが、「自分は平気」と答えることもあります。そのときは「あなたは平気でも、弟は嫌だと言っているね」と、相手の言葉に戻します。全員が同じ気持ちである必要はありません。
次にできることを一つ選ぶ
反省した様子を見せるまで話し続けるより、次の行動を具体的にします。積み木なら「戻しておく? 作り直すのを手伝ってよいか聞く?」。ただし、相手が一人で直したいなら、その希望を優先します。
- 勝手に触らず「手伝っていい?」と聞く。
- 断られたら、いったん離れる。
- 同じ遊びをしたいなら、別の材料を用意できるか相談する。
- 謝る場合も、相手がすぐ許すことを条件にしない。
親にも、言い直せる場面をつくる
親が片付けのつもりで作品を動かし、子どもが怒ることもあります。「片付けたかったけれど、まだ使っていたんだね。先に聞けばよかった」と、自分のつもりと相手の希望を言葉にする機会になります。
忙しい日に毎回丁寧な話はできません。「今は触るのを止めよう。話はお風呂の前に聞くね」と短く区切っても構いません。後から話すときは、説教を再開するより「さっき、何をしたかった?」から始めます。
落ち着いた日に、違う好みを楽しむ
おやつや遊びを選ぶとき、「私はこっち、あなたはそっちが好きなんだね」と違いを話してみます。絵本でも「この子はどう思ったかな」に正解を求めず、親子で違う読み方が出たら、そのまま並べておけます。
気持ちを考えることを毎日の小テストにしなくて大丈夫です。相手に確かめられる場面では確かめ、分からない気持ちは分からないまま尊重する。ここでの会話や遊び方は、そのための編集部の提案です。
4・5・6歳ごろなら、こんな工夫も
年齢は目安です。その日の様子や、本人が使いやすい方法に合わせて選んでください。
4歳ごろ
「まだ使っているから触らないよ」のように、出来事と行動を短く伝える案から。説明が長くなるなら一度に一つにします。
5歳ごろ
大人が二人の希望を「こうしたいんだね」と短く言い直し、それで合っているか確かめる案もあります。
6歳ごろ
「自分は平気でも、相手は違うことがある」を身近な好みの違いから話す案も。相手の気持ちを正確に推測できるかは試しません。
家で遊んでみるなら
参考にした資料
子どもの気持ちや主体性を尊重する関わりについて、以下の資料を参考にしています。会話や年齢別の工夫は編集部が考えた例です。
資料の一覧と、参考にした内容
- 文部科学省『幼稚園教育要領』(平成29年告示)
第2章「人間関係」「言葉」の、自分の思いを伝え他者の話を聞く経験を参照。家庭の会話例、仲直りの手順、年齢別の工夫は編集部案です。
