子どもの性格は変えた方がいい? 気質を知って、その子に合う関わりを探す
この記事でわかること
初めての場所では輪に入らない。きょうだいとは反応がまるで違う。「この性格を変えた方がいい?」と迷うことがあるかもしれません。まずは、どんな場所や関わり方なら過ごしやすそうか見てみます。性格や気質と、経験の中で使う力の違いを日常の例で説明します。

ほかの子との違いが気になるときは
活発か静かかという見え方だけでなく、その場で何をしたいのか、何が負担なのかを聞いてみます。本人が参加したいときの助け方を探す、という考え方です。
- 初めての集まりでは、先に見ていたいか、誰かと一緒に入りたいか確かめる。
- 大勢だと話しにくそうなら、少人数や別の場所で話せるか試す。
- 「いつも消極的」と決めず、楽しそうだった場面の人数や場所も見てみる。
声をかけるなら
「ここはにぎやかだね。少し離れた所から見てみる?」
この記事の目次
人見知りや、きょうだいとの違いが気になったら
性格のタイプを判定する課題ではありません。
集まりで話さず、大人のそばにいる
「いつも恥ずかしがり屋なんだから」と本人の前で決めつける代わりに、「まずここから見る?一緒に近くへ行く?」と参加の段階を選べるようにします。大勢の前で自己紹介することが難しければ、顔を知っている一人に絵を見せる入り口も作れます。
後で「なぜ話せなかったの」と問い詰めるより、「どの場所が過ごしやすかった?」と条件を聞きます。話すことを望んでいなかった可能性も残します。
にぎやかな場所で落ち着かない
すぐに自己制御の不足と捉えず、人数、音、待ち時間を一つずつ見直します。端の席を選ぶ、静かな場所で休む、予定を短くするなど、大人が環境を変えられる部分があります。同じ子でも、別の場所なら取り組みやすいかを観察します。
きょうだいで新しい遊びへの反応が違う
片方がすぐ触り、もう片方が見ていても、速い方を手本として押しつけません。「触って確かめたいんだね」「見てから決めたいんだね」と、その場の行動を言葉にします。道具を二つ用意する、先に見本を一回見るなど、同じ活動への入り方を変えられます。
人数や場所を変えて、遊びやすさを探そう
「伝えて、いっしょにつくる」の共同制作を使うなら、最初は大人と二人で、置きたい物を指さしてもらうところから始めます。言葉で説明できることを条件にせず、本人が望めば、絵を描く・物を置く・短く話す方法へ広げます。
大人の記録は「内向的だからできない」ではなく、「二人だと指で場所を示した」「人が増えたら離れて見た」のように具体的にします。次は人数を減らすのか、見ている時間を作るのかが考えやすくなります。できた回数を性格の点数に換算せず、本人が困っている点や希望も一緒に残します。
条件を調整しても困る場面が続くなら、園などに「どの場面で、何が起き、どんな支えを試したか」を共有できます。性格のせいにして我慢させることも、個人差だから何もしないことも、唯一の選択肢ではありません。
こんなとき、どうする?
おとなしい子だと、心配ですか?
内向的という見方だけで、共感、工夫、自己表現などをまとめて評価できません。本人の希望を聞き、二人の会話、描くこと、配置で示すことなど、表現が現れる場面を探します。
生まれつきの性格でも、親にできることはある?
「比較的安定した傾向」は、その日の行動や生活の条件が全く変わらないという意味ではありません。ここでは性格を変えようとするより、本人が参加しやすい方法や助けを増やすことを提案しています。
親の育て方で性格が決まりますか?
一つの原因だけで説明はできません。国研の概念一覧も、性格特性について遺伝と環境の両方を挙げています。子どもの反応をすべて親のせいだと考えず、場所や声のかけ方など、今変えられることを一つ試してみましょう。[1]
合わせてみても、つらそうなときは
人数や時間を減らしても困ることが続くなら、園などに具体的な様子を伝えて相談できます。「この性格だから仕方ない」で終わらせず、本人が何に困っているかを一緒に探します。
今日は、その子が過ごしやすかった場面を見つけよう
気質や性格は子どもを理解するための見方で、優劣のラベルではありません。「もっと明るく」より、「この人数なら伝えやすい」を探すことから始めましょう。
園や学校へ伝えるなら、「どんな場面で困るか」「本人の様子」「試して楽になった手助け」を一つずつ。「初めての場所では親のそばを離れません。しばらく見てからなら参加しやすいようです。園ではどうでしょうか」のように、家庭の様子から相談できます。
大人になってからも、こんな場面で
性格や気質には、みんなが目指す一つの正解はありません。将来、自分の傾向と場面の条件を見比べ、力を使いやすい過ごし方を探す視点として考えます。
大人の暮らしに置き換えると、こんな場面が考えられます。
仕事で、伝えやすい方法を選ぶ
大勢の会議で即答するより、考えを整理して文章で出す方が伝えやすいなら、その方法を相談する。静かか活発かだけで能力を評価せず、条件と技能を分ける場面です。
人との付き合い方を、自分のペースで作る
少人数の会話を好む人も、にぎやかな集まりを好む人もいます。人数や時間を調整し、自分と相手に無理のない関係を作る選択ができます。
暮らしで、刺激や予定を調整する
音や急な変更が負担になりやすいなら、静かな場所を選ぶ、予定に余裕を持つなどの工夫を考える。性格を直すことだけに向かわず、過ごしやすい環境を探せます。
良い性格の大人にそろえるのではなく、自分と他者の違いを知り、それぞれが参加しやすい条件を選べる姿を思い描きます。
この例について、詳しく読む
国立教育政策研究所の、気質・性格特性・技能・能力への信念を区別する概念整理を参照しています。[1] ここに挙げた生活場面は、定義から考えた編集部の例です。ここで紹介した遊びをすれば、将来このようになると示されたわけではありません。
ビッグファイブって何? 性格を見る五つの視点
Big Five(ビッグファイブ)は、外向性、協調性、誠実性、情緒安定性、経験への開放性という五つの広い領域で性格傾向を記述する枠組みです。情緒安定性は、反対側の神経症傾向として表されることもあります。
OECDの成人調査報告は、Big Fiveを「どの性格であるべきか」を決めるものとして扱わず、特性が高いほど必ずよいとは限らないと説明しています。また、極端な二種類に人を分けるのでなく、傾向の程度を考えるものです。「Skills that Matter for Success and Well-being in Adulthood」第1章、本文pp.13–17[2]
この報告の調査対象は16〜65歳です。大人向けの質問項目や仕事・生活との関連を、そのまま4〜6歳の性格診断や将来予測に使うことはできません。家庭で「五つとも高く育てよう」と目標にする必要もありません。
言葉の意味を、もう少し詳しく
気質は、刺激への感じやすさや活動の仕方、感情の現れ方などの傾向を扱います。性格特性は、行動・思考・感情に見られる比較的一貫した傾向を、より広く記述する概念です。国立教育政策研究所の一覧でも、気質、パーソナリティ特性、自己効力感などは別の項目として整理されています。「社会情緒的コンピテンスの一覧」気質・パーソナリティ特性の行[1]
例えば、初めての集まりを外から見ている子がいたとします。新しい場面で慎重になりやすい「傾向」、参加したいときに合図する「技能」、自分も遊べそうだと思う「見通し」は、それぞれ異なる観点です。見ている一場面から、三つとも低いと結論づけないようにします。
非認知能力という呼び方に性格傾向を含める研究はあります。ただし、本サイトの家庭の遊びの分類と、研究で使う性格の尺度は同じ得点表ではありません。
資料の対象と、この記事で参考にしたこと
概念の出典は国研の複数年齢を扱う一覧とOECDの成人報告です。4〜6歳という年齢は本記事の編集上の目安で、尺度の適用年齢ではありません。家庭案による気質・性格の変化や、特定の遊びの効果は検証していません。
似ている言葉も知りたいときに
参考にした資料
言葉の説明は以下の資料を参考にしています。遊びや声かけは家庭向けに考えた例で、同じように試せば必ず効果があるというものではありません。
資料の一覧と、参考にした内容
- 表2 社会情緒的コンピテンスの一覧
資料の種類:公的研究の概念整理表。対象:乳児期から青年期等、異なる発達段階を含む。参考にした範囲:1ページの一覧表のうち、気質・性格特性・感情理解・共感性・向社会的行動・自己概念・自己効力感・自尊心等の説明。原報告書と引用研究の全文は未確認。この資料で分からないこと:4〜6歳の発達を判定する表ではありません。「自己肯定感」をすべての研究で同じ意味とみなすこともできません。確認日:2026-10-06。
- Skills that Matter for Success and Well-being in Adulthood, Chapter 1
資料の種類:公式成人調査報告。対象:2023成人スキル調査は16〜65歳。第1章は先行研究と概念も扱う。参考にした範囲:Introduction 本文p.10(PDFページ12); The Big Five model of personality 本文pp.13–14(PDFページ15–16); Interpreting results 本文p.17(PDFページ19):公式PDF当該節のテキストを確認。全123ページの精読ではない。この資料で分からないこと:4〜6歳用の尺度・発達基準・将来予測に使わない。生涯成果との数値関連は記事で不採用。確認日:2026-10-06。


